本当の自分へ還る旅　～心の青空へ～

　

　今から十年以上も昔の話になりますが

　家族から「かめへんライダー」と呼ばれているお父さんがいました。

　子ども同志が仲良かったこともあって

　六甲山の中腹で、その家族と合同のバーベキューをすることになりました。



　よし、ちょっといいところを見せてやろうという魂胆で

　「若鳥のマヨネーズ焼き」なるものを作ろう

　と思ったのですが・・

　なんと、どこを探してもマヨネーズが見当たりません。


　あっ、マヨネーズ忘れた！と、つい大きな声が出たのですが

　すると間髪入れずに

　かめへん！　かめへん！

　という声が横から聞こえてきました。


　ああ、なるほど、これが噂の「かめへんライダー」か。



　子どもがＴシャツにケチャップを飛ばしても

　かめへん！　かめへん！


　お母さんが、静かに食べなさい、と子どもを怒っても

　かめへん！　かめへん！


　このときは、さすがにお母さんから

　かめへんライダーも、黙って食べろ！とつっ込まれてましたが（笑）



　バーベキューが終わって、

　子どもたちは近くを散策に出かけ

　大人たちはビールを飲みながら談笑していました。


　しばらくすると、「キャー」という叫び声が聞こえてきました。

　すると、お父さんは、すくっと起き上がって

　一目散に声が聞こえた方向へ走りだしました。

　私もその後に続いたのですが・・


　子どもたちが指を差している方向を見ると

　そこに、こっちをじっと見ているイノシシの親子がいました。

　六甲山は、イノシシがよく出る山として有名なのですが

　本当に出るとは・・


　猪突猛進されると、さすがにやばいので

　イノシシと向かい合ったまま、みんなでじわりじわりと

　その場から立ち去りました。


　子どもたちから、その話を聞いたおかあさんは

　ふーん、かめへんライダーも、

　たまには、仮面ライダーに変身するときがあんねんな

　と、お父さんにまたつっ込みをいれました。


　つっ込まれたお父さんは、ちょっぴり照れながら

　かめへん！　かめへん！




　実に、面白いお父さんでした。
　
　今もかめへんライダーやってるのかな？


　かめへん、は、「構わない」ということなんですね。

　私たち人間は、概念や観念という色メガネを通して、世界を見ています。

　ですからどうしても、

　それは良いのか、悪いのかという分別をしてしまうんですね。


　分別する前に、あるがままのリアルな世界があるのですが

　大人になって、自我が大きくなればなるほど、

　その世界が見えなくなってくるんですね。


　構いたくなる、放っておけないのは、

　そこに「分別をする自我」があるからです。


　もちろん、人間業界には、「業界の掟」というものがあります。

　それはそれとして、きっちりと教えてあげるべきだと思います。

　でも、本当に守らなければいけない大事なことなんて、

　そんなにないものです。



　子どもは、親の背中を見ながら成長する、と言います。

　まずは、自分から、なんですね。

　すでに跡形もなく消え去った過去のことでイライラしていませんか？

　まだどこにもない未来のことを考えて不安になってないでしょうか。


　“今”に意識があれば、リアルな世界が見えてきます。

　それが、それである。

　すでに完結し、構いようがない世界です。

　
　かめへん！　かめへん！




　第３０回まで、好評放送中
　人生上昇塾のネットラジオ「お気楽ちゃんねる」
　http://www.voiceblog.jp/okiraku1